悠久の歴史と大自然の国
2014年12月8日より2015年1月3日まで南アジアにあるネパール連邦民主共和国を訪れた。東、西、南の三方をインドに、北方を中国チベット自治区に接する西北から東南方向に伸びる細長い国である。(ネパール国旗)
100の多民族と20の多言語をもつ国で、ヒンズー教(元国教)、仏教などが混在し、観光業と農業を主たる産業としている。4つの世界遺産(サガルマータ国立公園、カトマンドゥ盆地、チトワン国立公園、ブッダの生誕地ルンビニ)があり、雄大な自然と豊かな文化を持つ国ネパールを旅した。
(第1日目)
キャセイパシフィック航空0501便で成田空港を11時ごろ出発し経由地である香港へ向かった。香港では約4時間の待ち合わせ時間があり、ちょっと退屈した。しかし、いいこともあった。ラウンジで休憩していた時に、思わぬ人に出会ったのだ。それは元大相撲の横綱だった朝青龍氏と話す機会に恵まれた。私も大相撲関係にはたくさん知り合いがいいるが、朝青龍とお会いするのは初めてである。
4時間過ぎてから19時の飛行機で目的地ネパールに飛び立った。予定より遅れて23時半過ぎにトリブバン国際空港に到着した。(写真2トリブバン空港にて)同行した方の荷物が着いてなくて約1時間位待たされて、カトマンズのホテルにバスで向かった。この日はフライトの疲れで熟睡した。
(第2日目)
朝6時、モーニングコールで起こされて、朝食後7時にホテルを出発した。バスでマウンテンフライトを楽しむため空港へ向かい、ブッタ航空の飛行機でヒマラヤ遊覧を楽しんだ。窓越しに見るヒマラヤ山脈は迫力があって素晴らしく、エベレストを見た時は感動した。ただ飛行の時に天候が安定していないと飛行できないと聞いていただけに我々は運がよかった。
飛行の後、カトマンズ市内を観光した。カトマンズ市内から車で西へ約2km行ったところに、緑に囲まれた丘の上に白いストゥーバ(仏塔)が見える。
これがネチベット仏教の象徴といわれるネパール最古の仏教寺院スワヤンブナート(目玉寺院)である。丘の上に建立しているので、石段(365段)の長い参道を登らなければ拝謁できない。
実際に見てみると実にユニークな顔をしたストゥーパである。大きな眼が描かれ、この眼が人間のすべてを見通し、額には小さな丸い眼があり、この眼はなにものも超越し物事の内奥まで見抜いてしまうと言う。仏教の悟りはただ一つ、仏道のみが解脱すること事だと説いている。(写真10ネパール最古の仏教寺院)(写真11寺院前にてガイドさんと合掌)
ストゥーパの正面にはドルジェ(金剛杵(こんごうしょ))が安置されてあった。(写真12大きな金剛杵)何か鍵みたいな形をしていた。これは、真言宗でも用いられる密教の法具らしい。東南アジアの仏塔と随分違っているなぁと思った。
次にダルバール広場(旧王宮前広場)に行ってみた。(写真13旧王宮広場)この広場に入るのに、外国人観光客は入場料が必要である。道路を知らんふりしていけばわからないような気がしたが、良心がとがめたので、入場料を支払った。
広場はたくさんの人たちで賑わっていた。タルバールという名称は、ネパール語で「宮廷」という意味らしい。この広場が王宮になったのは、マッラ王朝(1220〜1769)の頃で現在残っている宮殿や寺院の多くは、17世紀から18世紀にかけて建てられたものらしい。
1934年に大地震があり、大きな被害を受け、その後再建されたものも多くあるが、どの寺院や塔もその装飾は見事で一見の価値がある。(写真17寺院前にて)1979年には世界文化遺産にも指定された。
広場に入って左手に、窓枠にきれいに彫刻を施した3階建ての建物が見えた。この国では有名なクマリの館であった。ここに生き女神クマリ(Kumari)の化身として崇拝される少女が住んでいる。クマリは、ネワール族の由緒正しい家庭の家に生まれる幼女の中から選ばれる女神で、初潮が始まると交代させられる。インドラ・ジャットラなどの祭りの時のみこの家から出ることが許されている。ちなみにクマリの男性形は「クマール」というらしい。
2頭の石造りの獅子の間を入っていくと、クマリ・チョークと呼ばれる中庭があり、木彫りの窓やバルコニーをもつ3階建ての建物に囲まれていた。ガイドさんの説明を受けていたら、他のガイドからこれからはどうもクマリが2階正面の窓からお顔を出してくれるようだという情報が入った。
しばらくして、めったに出ないクマリが顔を出してじっと眼だけで一人一人の顔を見てくれた。その時間はわずか3分であった。通常は1分位しか出てくれないらしい。われわれはラッキーであった。ありがとうクマリ!
クマリの館を出てから、ネパール最古の建造物と言われ、カトマンズ地名から由来するカスタマンダプ寺院へ向かった。ホンユズここは9期3層からなり、ひときわ高いシヴァ寺院の前には、インド・シカラ様式の白い像があった。また更に奥にはナラヤン寺院、広場の北側には、18世紀後半にシャハ王朝ノハドゥル王が建てたシヴァ・パールヴァティー寺院などを会館から見学した。
広場の中心部に現地の人が群がる巨大な石像があった。シヴァ神の化身のひとつ恐怖の神といわれ、カラー・バイラヴがみられた。実にユーモラスな顔をした像である。
旧王宮広場の見学を終えてから次の訪問地ポカラに行くためトリブバン国際空港に向かった。
カトマンズから約35分位のフライトでポカラ空港に到着した。飛行中にヒマラヤ連峰を眺望することが出来た。
ポカラはカトマンズと違いリゾート地らしく、現代的な町であるが観光名所はあまりないようだ。ただポカラからはヒマラヤ山脈の山々を真近で見られるロケーションである。市内南部からはヒマラヤ山脈の山並みが望めるため、その風景を求めポカラにやってくる観光客は多い。またヒマラヤ方面へのトレッキングの出発地でもある。
空港からバスで、凸凹した山道を走って約1時間半、ノーダラの丘に建つ山岳リゾートホテル「ヒマヤラ・デウラリ・リゾート」に到着した。すでに空はうす暗くなっていた。ここはノーダラの丘に唯一あるホテルで、朝日や夕日の鑑賞ポイントとしても有名な場所である。ホテルの敷地そのものが展望台!ハイキングをしなくてもヒマラヤの絶景を眺められる絶景地である。日が沈むのをじっと待ってアンナブルナ山群の主峰を眺め続けた。すると次第に山ひだが徐々に赤く染まってきた。大感動である。写真で撮ると山々が黄金色に写った。
本当に素晴らしく、7,000、8,000メートル級の山がすぐ目の前で真っ赤に見える。何ということだ。信じられない。
ガイドさんになぜ山々が真っ赤になるのかを聞いてみた。光が通過する大気圏の長さの違いによるのが普通であるが、これはドップラー効果(発生源が観測者に対して、近付いている時は波長が短くなり、遠ざかる時には長くなる現象)によるものらしい。
朝焼けが夕焼けほど赤くないのは、光のドップラー効果が影響していると考えると理解しやすいと教えてくれた。更に夕日の時には太陽が遠ざかるので波長が長くなり、赤く見え、朝日の時は太陽が近付いているので波長が短くなり、空の青さが強調されるという。このガイドさんは博学ですなぁ〜 夕食後、バンガローでぐっすり眠りに入った。
|