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インドの旅(1)〜神々と信仰・喧噪と貧困の国〜

私が世界の旅を始めていよいよ50カ国目となる記念すべき国が今回訪れたインドだ。

インドは宗教の国でありながら、最先端技術とも言えるI.T情報技術を駆使して成長を遂げる国として世界の耳目を集めている。

12月28日エア・インディア307便でデリーに向けて成田を出発した。そして夜の6時過ぎにデリー空港に到着した。入国手続きを終え空港の外に出ると、そこはものすごい数の客待ちや出迎えの人たちでごった返していた。見るからにさほどの用事があるようには思えぬ人々だ。これが今思えばインドを象徴する姿だったのかもしれない。今回は私を含めて7人のグループで行動することになった。早速、空港よりバスに乗り込んだのだが、一同驚いたことにインドの首都デリーでありながら街灯らしきものがない真っ暗闇の道をバスはまっしぐらに一路ホテルへ向かった。1時間程で同行者の内3名がホテルで降り、次に我々4名がさらに30分くらい乗車した後、別のホテルへ到着した。どうやら3人と4人のグループに分けられたらしい。

翌日(2日目)は朝早く起床し、朝食をとった後8時過ぎにホテルを出発してデリー空港に向かった。そして1時間ぐらいのフライトで最初の訪問地ベナレスに到着した。この空港はインド有数の空港と言うには何とも規模が小さく、日本のローカル空港を彷彿させるものがあった。荷物を受け取って空港の外に出ると、ここでもまたものすごい数の人々が暇そうにしていて、我々旅行者たちを出迎えるでもなくいわばたむろしていた。我々はお世辞にもきれいとは言えないマイクロバスに乗ってベナレスの市内観光をした。ベナレスは人口170万人で、世界2位の人口を誇るインドの中でも大都市であり、ヒンドゥー教と仏教の聖地としてインド人のみならず外国人が最も多く訪れる宗教都市である。特にインド人ならば誰しも一生の間に一度は訪れて「沐浴」をしたいと願う場所として有名である。ただ都市というのは名ばかりで、貧民街を思わせるようなその光景には唖然とした。見学する場所を移動するたびに道があまりにも混雑していて、容易に前に進めないのにはほとほと困惑した。混雑といっても実際には人々、バイク、荷馬車、さらに牛が道路をふさいでいてどうにもならなかったのだ。

この日訪れたバーラト・マーター寺院は、母なるインド(バーラト=インド、マーター=母)という意味で、寺院内には大理石で作られたインド全体の立体地図がある。これから先何度もインドの寺院やモスクに入ることになるのだが、そこではいつも靴を脱がなくてはならず面倒くさいうえに床は汚れていて、閉口した私は以後靴下を二重にはくことにした。この日の見学はこの寺院1ヶ所だけで、あとはお土産好きな我々日本人のためにインドの有名なサリーやショールのシルクの店に連れて行かれた。ともかくどこへ行っても人人の山で私は人疲れしてしまった。夕食はホテルで、有名なインド料理 ‘タルドリー’料理を楽しんだ。夕食後サイクルリクシャーに乗って、夜の沐浴を見学しに出かけた。

3日目、前日よりさらに早く5:30に起こされ6:15分にホテルを出発し、バスで前夜と同じく「沐浴」で有名なガンジス川(ガンジス川はインドの他の川と異なり北南に流れている)に向かった。朝なのにガート(沐浴場)はものすごい人でごった返していた。ここは3000年以上の歴史を持つヒンドゥー教シヴァ神の最大の聖地で、生と死を見つめる母なる河に沿ってガートが84箇所岸辺に連なり、早朝から沐浴する人、聖水をくむ人、花売りの声など喧噪を極めていた。

我々はボートに乗り込んで、ガンジス川の側から沿岸のガートを見学した。川の水はあまりにも汚れていて、清潔好きの日本人がここで沐浴するのはちょっと躊躇させられると感じた。南端から緩やかに弧を描くガートを北上し岸辺に上がろうとする所で目先に焚き火をしているのが見えた。するとガイドさんに20mまで近づいたら写真を撮らないように言われた。それはヒンドゥー教の茶昆(火葬)であったからだ。私がガイドさんに茶昆の後遺体をどうするのか尋ねたところ、ガンジス川に流すと言う。よく見るとその遺体は普通の服装を着せられていて人の最期の衣装にしてはちょっと貧しく思われ、私は‘カルチャーショック’というか心に痛手を受けた。その後黄金寺院のあるヴィシュワナート寺院に向かった。途中、迷路の様な路地を通る際何かを踏んだと思ったら、てんこ盛りの牛のフンであった。インドの道端には、何と牛だけでなく犬のフン、時には人間のフンも普通に転がっているのにはさすがに驚いた。黄金寺院に到着したらそこには警備のための軍人らしき人が多数いて、写真撮影のみならず、荷物の持ち込みすら禁止させられた。なぜそれほど厳しいのだろうとそのときは不思議に思ったが、中に入ってその訳が分かった。そこにはヒンドゥー教の寺院とイスラム教のモスクが囲いもない状態で隣り合わせにあって、我々が訪れた数週間前にもイスラム教徒がヒンドゥー教徒に向かって傷害事件を起こしたらしい。そういうわけで警備が厳しかったわけだ。

次に昼前に仏教四大聖地サルナート観光をした。サルナートはベナレスから10kmほど離れた小さな町で、ブッダ(釈迦)が初めて説法したと言われる仏教徒の聖地である。ここではムルガンダ・クティー寺院を見学した。この中には壁いっぱいにブッダの生涯を描いた壁画があり、説明によると戦前に日本人画家が手がけた作品であるようだ。特に、ブッダがこの地にたどり着いて亡くなる寸前の涅槃の図が大きく描かれていて印象深かった。そしてその後、もうひとつの目的地サルナート考古学博物館を見学し、午後の飛行機で次の訪問地、ガジュラホへ向かった。

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