<第三日目>
朝6時に起床し、朝食を済ませてからホテルを出発しケアロンの市内観光をした。ケアロン(ハイルアン)は周りがオリーブ畑で囲まれた内陸部の町で、7世紀アラブ化の目的のためウマイヤ朝よりやってきたウクバ・イブン・ナーフィ総督によって建設された。北アフリカのイスラム発祥の地であり、イスラムの最初の寺院「グランド・モスク」が建設されてから、イスラムの世界ではメッカ、メディナ、エルサレムに次ぐ聖都とされた。
そのため内部には高さ35mのミナレットの塔がそびえ立ち、回廊も広く見る人を驚かす。礼拝堂は中央から左側に男性信者、右側の一部に小さなスペースで区切られた一角が女性信者が礼拝するという。
やはりこんなところにも“男尊女卑”みられる。この国はトルコ・エジプトなど他の国と違い寺院の礼拝堂にはイスラム教徒でなければ礼拝堂に入ることが許されていない。この寺院のほかムハンマドの同志で聖者アブ・ザマ・エル・ベラウィが眠る「シティ・サハブ霊廟」と、9世紀アグラフ朝時代に中世の世界では最高の技術で造られた「アグラフ朝の貯水池」を見学した。
次に、地元民やヨーロッパの観光客で一日中賑わうメディナを散策した。ここのメディナはチュニスよりこじんまりしていて、街歩きするにはちょうどいい大きさである。マルティール広場にあるショハダ門から最終のチュニス門までゆっくり歩いて30分位で着く距離である。周囲が城壁で囲まれているのが面白い。
このメディナにはカーペット、ランプ、衣類、民芸品などの他、パンや肉やソーセージなどが所狭しと並べられていた。
昼食は牛肉と牛肝臓をゆでたものをクミンソースで食べるチュニジアの名物料理カムニーヤを頂いたが意外と美味しかった。好きなビールがあったせいかもしれない。
お腹が一杯になったところで、再度バスに乗車して、次の訪問地スベイトラ(スフェトゥラ)に向かった。ケアロンから南西100q位にあるローマ遺跡スベイトラを訪れた。
昔は大廃墟都市スフェイトゥラと呼ばれ、ビザンチン帝国が支配していたが後にアラブ軍によって追い出された。しかしこの遺跡はそのまま残されたままである。チュニジアの中でも最も美しい遺跡の一つといわれている。メインの神殿には3人の神(ミネルバ・ジュピター・ジュノー)(写真18 3人の神が祭られたセルブス教会)が祭られている。
その他に凱旋門、大浴場、劇場などが残されている。 見学の後、再度バスに乗って今夜の宿泊地であるトズールに向かった。しかし、約204qの道程は今回の旅行行程の中でも最も長い移動距離であった。夜7時頃ホテルに到着した。ホテルは元ドズール宮殿を改造して造られた豪華絢爛な造りで驚いた。
この国はお金のためなら宮殿など国の重要文化財をもホテルにしてしまう。これは我々日本人には理解できない。
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