近くのホテルで昼食を済ませ、次にマヤ族の末裔の民家を訪問した。この家はマヤ族の面影を残す住居で、屋根が椰子の葉で葺いてある。窓も無く土間の上にハンモックがつるしてあって、簡単なタンスとテーブルが置いてあった。こういう棟が2つあり、もうひとつの棟は仕事場になっており老婆がインドのナンに似たいわゆるメキシコのタコスを料理していた。私はここの主と老婆にいろいろと質問してみた。「今でもこういう生活をしているのか」と尋ねると「我々年寄りはそうしている。若い者は隣に今風の住居を構えて生活している」と教えてくれた。
医療者である私と同行している内科の先生が最も尋ねたかったのが、この地の医療についてである。こんな山奥で病気になったら治療はどうするのか尋ねると、病院も診療所もないのでマヤ族に伝わる病気に効く薬草を庭で栽培して、いざ病気になると汁を絞って塗ったり、煎じて飲むという。まさに自然流の生き方である。名残惜しい民家を後に次の見学地ウシュマル遺跡に向かった。
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