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 イスラエルの旅(5) 〜「白い街」テルアビブ〜

イスラエル国(State of Israel)
面積 2.2万平方km 人口 約770万人 首都 エルサレム
宗教 ユダヤ教,イスラム教,キリスト教,ドルーズ 言語 ヘブライ語,アラビア語
外務省HP2011年12月現在基礎データより

<第8日目>の続き
エルサレムの見学を全て終え、最後の訪問地テルアビブに向かった。車で1時間半位かか った。テルアビブではホワイトシティーとヤッフォの旧市街を散策した。テレアビブは、20世紀に生まれた新しい都市で現在政治、経済、文化の中心になっている。1920年代に、多くのポーランド商人が移民し、現在の商業地として268万人が住み、同国の40%にあたる人口を有する首都である。そのため、ここに住む若者達には安息日という意識はあまり無いとガイドさん教えてくれた。
 今回はテルアビブの海岸線にあるロスチャイルド通り周辺に広がる白亜の建築群が並ぶホワイトシティーを散策した。ともかく近代化運動を経て建設されたビルやいい家が多い為我々がびっくりするような建物が多かったのに驚いた。
8日間のイスラエルの旅を終え、入国のときに来たベングリオン国際空港に再び戻り、22:10発の飛行機で、韓国インチョン空港を経由して日本へ帰国の途に着いた。
《イスラエルの旅を終えて》
イスラエルに訪れる前と後では、その国について歴史は別として大方の事がわかるはずであるが、どうもこの国は複雑怪奇で理解するには時間がかかりそうである。パレスチナ人だけでなく、世界各国から「世界に悪影響を与える国」と考えている人は50%以上に上っているといわれている。いわゆる「嫌われ者」のレッテルがが貼られているということである。相次ぐ国連決議を無視して40年以上、パレスチナを占領支配し、相手を敵と見ると攻撃する。
たとえ民間人が銃弾で亡くなっても「自衛権の行使」だといって言い逃れる。こういったことから世界から好かれないようだ。 
この国のユダヤ人の多くは、今の国際社会を当てにしていない。その背景にはユダヤ人たちの苦難な辛い歴史がある。
約2000年前、ローマ帝国に国を滅ばされて民は放浪の身になり、虐殺や迫害を絶えず受けてきた。その最たるものが今回訪れたホロコーストの歴史博物館(ヤド・ヴァシェム)である。600万にというユダヤ人が虐殺されたときに、国際社会は沈黙し、何もしようとしなかった。このことが現在のユダヤ人の中には骨の髄まで染み付いているのではないだろうか。

その結果、一億人のイスラム圏の中にある小国が、中東最強の軍事国家にになり、相次ぐ紛争の中、奇跡的とも言える経済成長を遂げ、先進国並みの生活水準を勝ち得た。その躍動的役割を果たしたのは『キブツ(ヘブライ語・英語はKibbutz)』である。キブツとはイスラエルの集産主義的共同体である。1909年ロシアの迫害を逃れた若いユダヤ人の一群がこの地に渡り、ガリラヤ湖沿岸のデガニアに最初の共同村を作ったのが始まりである。自分達の国家建設の夢を実現させようと願って集団責任、身分の平等、生産的自力労働、機会均等の四原則に基づく集団生活を始め、土地を手に入れて開墾して行った。また社会主義とシオニズム(祖国建設)の形で結合した共同体運動である 。元来農業が中心であったが、その後工業や観光業を営み、一種独立した自治体の役割を有している。最初は労働は無報酬であったが、現代では給料が支払われている。またキブツは全人口の比率からいっても多く、中には知識人、政治家、軍指導者などを輩出している。イスラエルは他の国と違い政治的・宗教的・文化的に強い思想や考え方を持つところがあり、我々日本人には理解しにくいものがある。


現代のイスラエルの国は一神教でありながら、三つの神を有している。その為各地で民族的、宗教的紛争が絶えず起こっている。特にエルサレムは軍人と神学者及び一般人にくっきり分かれ、イスラエルという国家の常識を知らないと仕事にあり付けない。性格も気が短い民族であり、私がある博物館を訪れた際、ユダヤ教の若い敬虔な信者たちが、ちょっとしたことで諍いになりイスラム人信者と白人信者が集団で殴り合うのをつぶさに見た。いくら宗教を信じ、学んでも人の気持ちは中々統一することは難しいようである。
もう1つ今のこの国は、ユダヤ教やイスラム教よりキリスト教の勢力が強いせいか、何処へ行ってもキリスト教の教会が多く驚かされた。これも全世界に19億人を有するキリスト教の力を象徴する結果ではないだろうか。ユダヤ人を頼りにする超大国アメリカの支援なくしてイスラム圏の中で国家を維持することが出来ないことがよく分かった。最後にこの国を知ることで、国を守るとはどういうことなのか改めて考えさせられた旅であった。

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