ナンプラーはタイ料理には絶対欠くことのできない調味料です。最近のエスニックブームに伴い日本の家庭の厨房にも備えられるようになってきました。
ナンプラーをはじめとする魚介類を原料とする醤油を魚醤と言います。一方、大豆など穀類を原料とする醤油を穀醤といいます。
魚醤を代表とする動物性の醤油の歴史は意外と古く、穀醤より過去にさかのぼり最古の記録は紀元前3世紀、中国の「周礼」という書物です。ヨーロッパでは紀元前1世紀古代ローマ時代「アピーキウスの料理書」にその製造法や料理法が記されています。
現在世界的には魚醤の多くは図のように東南アジアに存在しています。ですが、魚醤の原初である中国ではその後、豆類の発酵技術が発達し今では穀醤が主流となりました。
日本では秋田のしょっつる、石川のいしる、香川のいかなご醤油が有名です。
ナンプラーの原料はカタクチイワシと塩です。ナンプラーの旨さはこのカタクチイワシ独特のもので他の魚では醸し出すことが出来ません。カタクチイワシはいたみやすいため、製造工場はタイでもバンセンやシラチャなどの漁港付近に集中しています。
ナンプラーを作るには新鮮なカタクチイワシに塩を2対1の割合で加え、かき混ぜて重石を置いて漬け込みます。6ヶ月から1年発酵させた後、液体成分を濾過して出来上がりです。暑い国タイでも高濃度の塩分のため腐敗することがありません。
ナンプラーはカタクチイワシの内臓に含まれる酵素の作用でタンパク質が分解され、旨み成分が溶け出します。分解されたタンパク質にはグルタミン酸などのアミノ酸やアミノ酸が連鎖したペプチドが含まれ、特にグルタミン酸は化学調味料の主成分で旨みの元です。
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