海に囲まれた日本には、魚を干して保存性を高める干物が古くから食文化として伝わっています。縄文時代の貝塚には、魚や貝(カキ)を干した 形跡がみられ、干物を作る道具まで持っていたことが判っています。
奈良時代には、宮廷への献上品や租税として納められていたといわれています。平安時代になると魚獲量と共に干物の生産量も増え、京の宮廷では酒宴に欠かせない肴でした。源氏物語にも平安貴族が興じた宴の酒肴として記されています。干物が一般的になったのは江戸時代に入ってからです。
現在は、塩を利かせてシッカリ干したものよりも、塩を控えてさっと干した生干しや、一夜干しなどが主流で、普段のおかずや旅のお土産にも欠かせない存在となっています。
干物は、魚などの魚介類の身を干した加工食品です。
身を開き、内臓を取り除いて干す加工法が一般的で、小魚はそのまま干して丸干しとして食べる事もあります。 また干物は、乾燥させる風が重要で、適度な湿度や温度など(海風)が必要です。
魚は成人病予防の食品として注目されています。低脂肪・低カロリーの良質のたんぱく質の宝庫で、認知症防止や脳によいDHA、健康な血管を作るEPA、丈夫な骨を作るカルシウム、生活習慣病の予防に最適なタウリン、美肌作用やがん細胞に対する免疫力強化のコラーゲン、どれも現代生活に欠かせない栄養素が含まれています。
例えばアジの干物は、生よりたんぱく質や栄養に優れた魚脂が2倍以上に増えます。また、視力回復や皮膚の成長をつかさどるビタミンAも多く含まれています。
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