ナポリタン、オムレツ、ハンバーガー・・・トマトケチャップは子どもから大人まで大人気の調味料です。トマトケチャップは、トマトを茹でて6倍濃縮したトマトペーストに液糖、醸造酢、塩、香辛料などをブレンドして作られます。アメリカで生まれたトマトケチャップですが、そのルーツは意外にも中国にあるようです。
古代中国には茄醤(ケ・チャイプ)という魚を醗酵させて作ったソースがありました。タイのナンプラーやベトナムのニョクマムなどに代表される魚醤と呼ばれるものです。一説によるとケ・チャイプがケチャップの語源だそうです。ケ・チャイプはマレー半島へ伝わり、大航海時代にイギリスの船乗りが母国へ持ち帰ります。イギリスではケ・チャイプをまねていろいろな食材を使ってソース作りが行われました。マッシュルーム、ナッツ、オイスター、レモン・・・このころトマトを使ったケチャップはまだありませんでした。トマト自体は16世紀にはヨーロッパに持ち込まれていたのですが、その鮮やかな色への抵抗感や、ナス科の植物には毒があるものが多く、トマトも有毒と思われていたために食用ではありませんでした。18世紀にイタリア人が飢えをしのぐために食べ始めたそうです。
やがてアメリカ大陸発見後、イギリスからの移民によってケチャップはアメリカに持ち込まれます。アメリカでもカリブ諸島で採れたマンゴーやバナナを加えるなど、ケチャップ作りの試行錯誤は続きました。十九世紀末に南イタリアから多くの人が移民してきた後、トマトケチャップが生まれました。
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