「四体液病理説」は紀元前2世紀、医学の祖ガレノスが後世に体液説が広がるきっかけを作った理論だと言われている。植物や動物など生物の体を調整しているのは自然であり、自然の持つ力には一方では固有のものを引き寄せて同化する力と他方では異化して排除する力がある。ヒポクラテスもガレノスも生物の体は全身の精気(精力・元気)と体液の運動と調和に依存するとしている。自然はある種の力を持って適確に働き、その加減で身体各部は必要な体液を自分のところに引き寄せて付着させ、それを完全に同化させる。その反対にコントロールされずに完全な変質をうけず栄養される方向に身体部分に同化されない体液は、自然の力で排除される。
20世紀になってドイツのルドルフ・シュタイナー(ドイツの思想家)が「人間の身体は90%液体である。肉体は熱に帯びて波動する液体と気体、そして幾らかの固体でなっている」と述べている。ヒポクラテスの医療思想では医師は自然に協力し自然のもつ治癒力を補助することにあるとしている。つまり「自然は病気の医者である」ということに自ずと繋がってくる。
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