古代の時代ホルモンについての概念がなかった時代に、ヒポクラテスは全集の中で次のような文面を残している。
<ヒポクラテスの教え>
「閉経前の女性は足の痛風にかからない」
痛風は性差のある疾患である。圧倒的に男性に多いとされ、男性ホルモンと大いに関わってくる。老化によって男性ホルモンが少なくなったり、性転換によって男性ホルモンが少なくなると女性ホルモンが増加する。このようなことをヒポクラテスは観察にもとづいて知っていたといわれている。
月経がある年齢で、普通の食事をしていれば、女性は痛風にかかりにくいものであるが、閉経後は女性ホルモンであるエストロジェンの分泌が減少して男性ホルモンが優位になり、痛風になる可能性が高くなる。現代医学が証明したことを、2500年前既にヒポクラテスは知っていたのだ。
18世紀フランスで閉経前の中年女性が初めて痛風にかかり、その原因は飽食であることが分かった。どの時代でも考えられることだが、社会が豊かになれば美味しいものを食べ過ぎる人が増えてくる。現代社会では当然現代病である痛風が多発しても不思議ではない。現代では血液中の尿酸値を測定することで痛風になる危険性を事前に知ることができる。確かに美食が痛風の原因の一つではあるが、美味しい食べ物すべてに痛風の原因である尿酸の原料プリン体が多く含まれているわけではない。プリン体は塩辛や動物の内臓肉に多く含まれているのだ。アルコールも痛風の発症を促進する原因と考えられるのだ。食べてしまった後で体内の尿酸を排泄させるには、水分を出来るだけ多く取るようにするとよい。
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