ヒポクラテスの癒す力

2007.01.31更新
(31) 「性ホルモンの影響を知る」

古代の時代ホルモンについての概念がなかった時代に、ヒポクラテスは全集の中で次のような文面を残している。

<ヒポクラテスの教え> 
「閉経前の女性は足の痛風にかからない」

痛風は性差のある疾患である。圧倒的に男性に多いとされ、男性ホルモンと大いに関わってくる。老化によって男性ホルモンが少なくなったり、性転換によって男性ホルモンが少なくなると女性ホルモンが増加する。このようなことをヒポクラテスは観察にもとづいて知っていたといわれている。

月経がある年齢で、普通の食事をしていれば、女性は痛風にかかりにくいものであるが、閉経後は女性ホルモンであるエストロジェンの分泌が減少して男性ホルモンが優位になり、痛風になる可能性が高くなる。現代医学が証明したことを、2500年前既にヒポクラテスは知っていたのだ。

18世紀フランスで閉経前の中年女性が初めて痛風にかかり、その原因は飽食であることが分かった。どの時代でも考えられることだが、社会が豊かになれば美味しいものを食べ過ぎる人が増えてくる。現代社会では当然現代病である痛風が多発しても不思議ではない。現代では血液中の尿酸値を測定することで痛風になる危険性を事前に知ることができる。確かに美食が痛風の原因の一つではあるが、美味しい食べ物すべてに痛風の原因である尿酸の原料プリン体が多く含まれているわけではない。プリン体は塩辛や動物の内臓肉に多く含まれているのだ。アルコールも痛風の発症を促進する原因と考えられるのだ。食べてしまった後で体内の尿酸を排泄させるには、水分を出来るだけ多く取るようにするとよい。


(71)骨の自然性 (1)
(70)流行病 (3)
(69)流行病 (2)
(68)流行病 (1)
(67)内科疾患について(3)
(66)内科疾患について(2)
(65)内科疾患について(1)
(64)病気を見分ける方法
(63)古代においての「急性病」(5)
(62)古代においての「急性病」(4)
(61)古代においての「急性病」(3)
(60)古代においての「急性病」(2)
(59)古代においての「急性病」(1)
(58)自然は病気の医者である
(57)四体液病理説
(56)ヨーロッパとアジアの違い(2)
(55)ヨーロッパとアジアの違い(1)
(54)病気と四季の関係(2)
(53)病気と四季の関係(1)
(52)人間の本性
(51)自然こそ病気の医者(2)
(50)自然こそ病気の医者(1)
(49)病は風の変化によって起こる
(48)古代特有の病「神聖病」
(47)古代の医術(4)古代の病気の形態
(46)古代の医術(3)ヒポクラテスの食餌法
(45)古代の医術(2)医術の知識の重要性
(44)古代の医術(1)医術の起源
(43)ヒポクラテス医学は全人的医学
(42)自然学から生まれた医者(Physician)
(41)神殿医学から自然医学に与えた影響(3)
(40)神殿医学から自然医学に与えた影響(2)
(39)神殿医学から自然医学に与えた影響(1)
(38)日本医学に影響を与えたヒポクラテス
(37)なぜ「医学の父」と崇められたのか
(36)医学は哲学から科学へ
(35)人間も自然の一部
(34)医師のモラルと良心(2)
(33)医師のモラルと良心(1)
(32)弱い痛みが強い痛みに隠される
(31)性ホルモンの影響を知る
(30)健康なときこそやるべきこと
(29)誰にでもある「癒す力」
(28)医者と患者のいい関係
(27)ヒポクラテス流・正しい医者の選び方(2)
(26)ヒポクラテス流・正しい医者の選び方(1)
(25)ワインの薬効
(24)ヒポクラテスの痔治療
(23)よい食習慣
(22)血液型による効果的な食事法
(21)病気を引き起こす原因は変化である
(20)気候風土と人間の関係性
(19)人間の体と季節の関係
(18)人間にとって最も大切なものは健康である
(17)病気を引き起こす原因は変化である
(16)人間が見る夢は心身の状態や病気と深い関係を持つ
(15)医者と患者のいい関係
(14)ダイエットの理想的な方法
(13)ヒポクラテスの人物像
(12)年齢と季節の関係
(11)女性は湿性で冷たく、男性は乾性であったかい
(9)「4」を持つヒポクラテス医学
(8)ヒポクラテスが教える120歳まで生きる法(2)
(7)ヒポクラテスが教える120歳まで生きる法(1)
(6)神経系を脅かす投薬治療
(5)治療は患者さん自身が自由に選択できる
(4)個人差を無視する現代医学
(3)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力
(2)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力
(1)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力

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