ヒポクラテスの癒す力

2008.09.29更新
(41)神殿医学から自然医学に与えた影響(3)

コス島のアスクレピエイオンはエピダウスやペルガモンと異なり、エーゲ海の遠大な眺望に臨む温暖な気候である島の丘陵地帯にあり、鉱泉が出る場所から離れておらず、病気を癒すには最高の場所である。おそらくこの土地は太古から崇拝の念を持って受けとめられた場所ではなかっただろうか。

またこの神殿は幾多の地震によって崩れはしたものの、エピダウス・ペルガモンの神殿に比べ大規模で設備も保存状態も良好である。その大きな要因は紀元前5世紀から4世紀に活躍したヒポクラテスの力が大きかったようだ。この神殿はまとまりが非常によく合理的に造られている。第一テラスから第四テラスまで、浴場、宿泊施設(泉・貯水槽・柱廊などえお備えたもの)、エクセドラ(公共ベンチ)、祭祀、神の祭壇、神殿などが配置されていまとまりが非常によく合理的に造られている。おそらく第四テラスの奥にある所に野外劇場があったのではないかと想像させられる。

今回のテーマである神殿医学から自然医学への変遷を辿っていくと、医神アスクレピオスが施してきた神による治療を科学的な考え方、診察の過程を知ることができる。「見る」、「知る」、「観察する」を基本的概念として用い目・耳・額・皮膚・心臓などの生理機能を観察し、眠りの具合や夢の内容を聞き、患者にあった治療方法を決めて試みた。ヒポクラテスにとってイオニア自然学は大きな基礎となった。


(71)骨の自然性 (1)
(70)流行病 (3)
(69)流行病 (2)
(68)流行病 (1)
(67)内科疾患について(3)
(66)内科疾患について(2)
(65)内科疾患について(1)
(64)病気を見分ける方法
(63)古代においての「急性病」(5)
(62)古代においての「急性病」(4)
(61)古代においての「急性病」(3)
(60)古代においての「急性病」(2)
(59)古代においての「急性病」(1)
(58)自然は病気の医者である
(57)四体液病理説
(56)ヨーロッパとアジアの違い(2)
(55)ヨーロッパとアジアの違い(1)
(54)病気と四季の関係(2)
(53)病気と四季の関係(1)
(52)人間の本性
(51)自然こそ病気の医者(2)
(50)自然こそ病気の医者(1)
(49)病は風の変化によって起こる
(48)古代特有の病「神聖病」
(47)古代の医術(4)古代の病気の形態
(46)古代の医術(3)ヒポクラテスの食餌法
(45)古代の医術(2)医術の知識の重要性
(44)古代の医術(1)医術の起源
(43)ヒポクラテス医学は全人的医学
(42)自然学から生まれた医者(Physician)
(41)神殿医学から自然医学に与えた影響(3)
(40)神殿医学から自然医学に与えた影響(2)
(39)神殿医学から自然医学に与えた影響(1)
(38)日本医学に影響を与えたヒポクラテス
(37)なぜ「医学の父」と崇められたのか
(36)医学は哲学から科学へ
(35)人間も自然の一部
(34)医師のモラルと良心(2)
(33)医師のモラルと良心(1)
(32)弱い痛みが強い痛みに隠される
(31)性ホルモンの影響を知る
(30)健康なときこそやるべきこと
(29)誰にでもある「癒す力」
(28)医者と患者のいい関係
(27)ヒポクラテス流・正しい医者の選び方(2)
(26)ヒポクラテス流・正しい医者の選び方(1)
(25)ワインの薬効
(24)ヒポクラテスの痔治療
(23)よい食習慣
(22)血液型による効果的な食事法
(21)病気を引き起こす原因は変化である
(20)気候風土と人間の関係性
(19)人間の体と季節の関係
(18)人間にとって最も大切なものは健康である
(17)病気を引き起こす原因は変化である
(16)人間が見る夢は心身の状態や病気と深い関係を持つ
(15)医者と患者のいい関係
(14)ダイエットの理想的な方法
(13)ヒポクラテスの人物像
(12)年齢と季節の関係
(11)女性は湿性で冷たく、男性は乾性であったかい
(9)「4」を持つヒポクラテス医学
(8)ヒポクラテスが教える120歳まで生きる法(2)
(7)ヒポクラテスが教える120歳まで生きる法(1)
(6)神経系を脅かす投薬治療
(5)治療は患者さん自身が自由に選択できる
(4)個人差を無視する現代医学
(3)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力
(2)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力
(1)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力

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