ヒポクラテスが残した全集の中には自然医学者たちの考え方が、強く現れているのがわかる。自然科学者たちの考えはさらに研究されて、体液病理説となっていった。そして後に医学の概念として発展することになった。
医学では言うまでもなく最も大切なのは“病気の問題”である。一般的には病気の種類は数多くあると思われている。しかし古代では病気は一つだけと考えられていた。もちろん病気がいろいろな顔を持っていることは事実であるが、体のある特定の部分が悪いとかいうのではなく、身体全体が病んでいるというホリズム(全体観)を重視した。その考え方を基にしてできたのが四大体液説である。
ヒポクラテス医学は自然の中に自然性を追求し、それを医学の原点としたところに意義がある。もし身体が自然体であれば健康であり、不自然や不均等であれば病気になるとしている。この考え方が体液病理説として形成されていった。
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