ギリシャの周辺地域に住む諸民族の生活様式について、民族学的な観点から記述するとヨーロッパとアジアの相違点が多くみられる。それは民族集団の肉体及び気風などの特徴はその地域の気候と地形に影響されているとヒポクラテスは主張している。
季節によって著しく気候が変わる山地で、岩場が多く十分に水を利用する高地では住む人達が体格が大きくつくりががっちりしていて、勇敢で忍耐強い気質である。水田や牧場でおおわれた湿地で暑いくぼ地に住む人たちは主に冷たい風より暖かい風にさらされ、生ぬるい水を飲んでいるため、体格は大きいがずんぐりして肉付きがよく、髪の色が濃く浅黒い、どちらかというと粘液質より胆汁質のほうが多い。
アジアとヨーロッパでは植物についても異なっている。アジアではあらゆるものが美しく大きく育ち、土地も耕すことは容易く、人間の気質も柔和で穏やかである。それはアジアの四季が1年を通じてうまく調和しているためである。それに対しヨーロッパには色々な民族が居り、その中でもスキティア人は他の民族と違い遊牧民で寒土に強く北風が吹いても耐えることが出来る。他の種族は身長、体形ともに種族内でもそれぞれ違いがある。猛暑と厳しい冬に強い体質を持つ。環境条件がその国の軍隊の質や政治にも影響してくる。 |