ヒポクラテスは、「人間が無意識のうちに見る夢は、心身の状態や病気と深いつながりがある。」といっています。夢の内容によって、魂の活動状況、自分自身の姿や行動、天候や季節などの外部環境からくる心身の状態を把握することができます。
人間の魂は、体が目覚めているときには、視覚、聴覚、触覚、歩行などの運動、つまり体の各部分を機能させるために働いています。体が休息するときは意識のコントロールを離れて、現実の制約や日常の生活から解放され、本来の自由な活動を開始するのです。
魂は睡眠中でも目覚めていて、感覚はありませんが、あらゆる物事を認識し、心身に与えられるさまざまな刺激や苦痛を無意識のうちに感じ取っています。日ごろよく見る夢を分析し、夢が伝えようとしているメッセージを読み取ることによって、体の状態や疾病の有無を知ることができるのです。
たとえば、夢の中に出てくる太陽や月、星といった天体は、その人の健康状態を意味しています。天体が明るくはっきりと見える夢は、心身ともに充実し、健康であることを示しています。反対に、天体がゆがんで弱々しく見える場合は、心配事やストレスのために心身のバランスが崩れていることを示しています。霧や雨で天体が曇って見える場合は、体内で分泌物が滞り、代謝機能の低下を表わしているといわれます。
また、川の流れは血液の循環を意味しています。水量の少ない川の夢は血液の欠乏、水量の多い川は血液の過剰を示しています。特殊な例として、視力や聴力に障害がある夢を見る場合は、頭の周辺に疾病が起きている徴候といわれます。
このように、夢は健康状態を予測し、病気になる前に生活習慣を改めるきっかけにもなるのです。夢に登場するものは、すべて夢を見ている本人の分身であり、無意識のうちに魂が送っているメッセージなのです。
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