ヒポクラテスの癒す力

2008.11.28更新
(42)自然学から生まれた医者(Physician)

すべての文明・文化の成り立ちがそうであったように、紀元前のころ医学の世界もまだ混沌としていた。そんな中で経験の蓄積、病気や回復の原因の究明、医療技術の向上など、絶え間ない努力を続け自然医学の本質を見極めていった。ギリシャでは紀元前800〜600年頃、アナトリア半島西海岸を中心にイオニア文明が発祥した。エーゲ海から地中海にかけてのイオニアには人類の最初と言われる哲学者たちが誕生した。

イオニア自然学はいろいろな哲学者を輩出していった。「水」が万物の根源であるといったタレス、「空気」を万物の根源であるといったアナクシメネス、世界の根源は「火」(エネルギー)であると考えたヘラクレイトス、またデモクリトスは人間は原子が混ざり合ったものであるという原子説(アトム説)、最も有名な哲学者で医師であったエンペドクレスは「土、空気、水、火」の4つを根源として宇宙ができていると説いた。

イオニア学者やピタゴラスの哲学者が探求しょうとしたものは万物の根源と宇宙の構造であったといわれる。自然学をギリシャ語でPhusis(ピュシス・生む)と言う。英語で物理学のことをPhysicsと言うが、これは万物に共通する原理を探求するという意味からPhusisを語源したしたようである。自然万般のものに動物、植物,鉱物があり、それらに共通するのが自然(Physica)であることから、人間にとっては自然すなわち健康であり、その自然を調整する人を医者(Physician)とした。ただし、歴史上では15世紀に入ってから医者をPhysicianと呼ぶようになった。


(71)骨の自然性 (1)
(70)流行病 (3)
(69)流行病 (2)
(68)流行病 (1)
(67)内科疾患について(3)
(66)内科疾患について(2)
(65)内科疾患について(1)
(64)病気を見分ける方法
(63)古代においての「急性病」(5)
(62)古代においての「急性病」(4)
(61)古代においての「急性病」(3)
(60)古代においての「急性病」(2)
(59)古代においての「急性病」(1)
(58)自然は病気の医者である
(57)四体液病理説
(56)ヨーロッパとアジアの違い(2)
(55)ヨーロッパとアジアの違い(1)
(54)病気と四季の関係(2)
(53)病気と四季の関係(1)
(52)人間の本性
(51)自然こそ病気の医者(2)
(50)自然こそ病気の医者(1)
(49)病は風の変化によって起こる
(48)古代特有の病「神聖病」
(47)古代の医術(4)古代の病気の形態
(46)古代の医術(3)ヒポクラテスの食餌法
(45)古代の医術(2)医術の知識の重要性
(44)古代の医術(1)医術の起源
(43)ヒポクラテス医学は全人的医学
(42)自然学から生まれた医者(Physician)
(41)神殿医学から自然医学に与えた影響(3)
(40)神殿医学から自然医学に与えた影響(2)
(39)神殿医学から自然医学に与えた影響(1)
(38)日本医学に影響を与えたヒポクラテス
(37)なぜ「医学の父」と崇められたのか
(36)医学は哲学から科学へ
(35)人間も自然の一部
(34)医師のモラルと良心(2)
(33)医師のモラルと良心(1)
(32)弱い痛みが強い痛みに隠される
(31)性ホルモンの影響を知る
(30)健康なときこそやるべきこと
(29)誰にでもある「癒す力」
(28)医者と患者のいい関係
(27)ヒポクラテス流・正しい医者の選び方(2)
(26)ヒポクラテス流・正しい医者の選び方(1)
(25)ワインの薬効
(24)ヒポクラテスの痔治療
(23)よい食習慣
(22)血液型による効果的な食事法
(21)病気を引き起こす原因は変化である
(20)気候風土と人間の関係性
(19)人間の体と季節の関係
(18)人間にとって最も大切なものは健康である
(17)病気を引き起こす原因は変化である
(16)人間が見る夢は心身の状態や病気と深い関係を持つ
(15)医者と患者のいい関係
(14)ダイエットの理想的な方法
(13)ヒポクラテスの人物像
(12)年齢と季節の関係
(11)女性は湿性で冷たく、男性は乾性であったかい
(9)「4」を持つヒポクラテス医学
(8)ヒポクラテスが教える120歳まで生きる法(2)
(7)ヒポクラテスが教える120歳まで生きる法(1)
(6)神経系を脅かす投薬治療
(5)治療は患者さん自身が自由に選択できる
(4)個人差を無視する現代医学
(3)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力
(2)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力
(1)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力

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