益を与えよ。さもなくば無害であれ。
医療の世界は日進月歩の勢いで進歩しているが、医者が的確な判断をすることが病気を治すための重要な要素であることには変わりがない。
また医者は患者の既往歴を把握した上で、現在の容態をきちんと診て、これからの予測を立てることが必要だ。それと患者一人ひとりに特有の性質を良く認識した上で病気と闘うことが医者の務めだ。
また患者は医者と協力し患者自身が自分の病気について適格な判断力を持ち診断や治療の内容をしっかりと把握することが大切だ。ただ現実には自己管理が甘いと病気になる要因となり、実際病気になると医者や病院任せにするという人が圧倒的に多いようだ。患者は医者と協力して病気と闘うことが不可欠だ。
ヒポクラテスは自然環境や患者さんの特性にあった医療が重要だと考えていた。医者は患者を一方的に治療するのではなく、お互いの信頼関係のもと患者自身が回復しようとする力を最大限に引き出すことが重要だ。本当によい医療は、医者と患者と周囲の環境によってはじめて成立するものだ。自然と協調した医療の必要性を認識した上で患者が自分の力で回復しようとするエネルギーを引き出すことが医療の本質である。その意味からも古代ギリシャから受け継がれた自然医学に、もう一度目を向ける時期にきているのではないか。
医者は部分と全体を共存させるものの見方を養う必要がある。具体的には腸が痛いといっている患者の腸を見るだけではなく、患者の体質、年齢、職業、働く環境、生活環境、食生活などの要素が補い合ってバランスを保っているか見抜く能力が必要となる。これらのバランスがもし保たれていれば病気は起こらない、あるいは病気になっても回復が早くてすみむ。
食生活だけではなく医療の世界でも個性を尊重した新しい時代が到来してきている。そのため、より的確な医療を施すとすれば、正確な情報を元に事実を一つ一つ確かめ医療の全体像を把握していくことが大切である。
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