ヒポクラテスの癒す力

2009.09.15更新
(47)古代の医術(4)古代の病気の形態

古代においては病気を3つのプロセスに分けていた。すなわち未熟期・成長期・分離期の3つである。未熟期は体液が変化を始めるとき、成熟期は液体の沸騰が生じるとき、分離期は発病が起こり病原体の排除作用によって病気が治癒するときである。病気は自然の成り行きによって起こる。中には偶発的に発生するものもある。古代の医術では人間に生じる症状のどれだけのものが力(体の作用の強さと鋭さ)関係から起こり、どれだけのものが形態(人体の臓器)の関係から起こるかを重視した。例えば胃は中が空洞になっていて、一方が広く他方が先細りとなっているものというようにである。

古代医術では、肉から液を引き寄せ吸い取る器官として頭・膀胱・子宮などがあるとした。また脾臓、肺、などスポンジ状で多孔質のものは、液体を吸収力が強く、液体がより増えれば硬く膨張する。したがって空っぽになることはない。もう1つ重要な臓器である肝臓は柔らかく肉付きがよい。血が多く緊密であるために抵抗して体内ガスは行く手を阻まれ、より膨張して硬くなり激しくぶつかって血が充満して苦痛を生じる。そしてさらにこれが頻繁に起こることで化膿や、腫瘍ができてくる。

病気のときと健康なときとでは体の形態に大きな相異があるということを忘れてはならない。この相異を知ることにより、適切な処置を講ずることができる。


(71)骨の自然性 (1)
(70)流行病 (3)
(69)流行病 (2)
(68)流行病 (1)
(67)内科疾患について(3)
(66)内科疾患について(2)
(65)内科疾患について(1)
(64)病気を見分ける方法
(63)古代においての「急性病」(5)
(62)古代においての「急性病」(4)
(61)古代においての「急性病」(3)
(60)古代においての「急性病」(2)
(59)古代においての「急性病」(1)
(58)自然は病気の医者である
(57)四体液病理説
(56)ヨーロッパとアジアの違い(2)
(55)ヨーロッパとアジアの違い(1)
(54)病気と四季の関係(2)
(53)病気と四季の関係(1)
(52)人間の本性
(51)自然こそ病気の医者(2)
(50)自然こそ病気の医者(1)
(49)病は風の変化によって起こる
(48)古代特有の病「神聖病」
(47)古代の医術(4)古代の病気の形態
(46)古代の医術(3)ヒポクラテスの食餌法
(45)古代の医術(2)医術の知識の重要性
(44)古代の医術(1)医術の起源
(43)ヒポクラテス医学は全人的医学
(42)自然学から生まれた医者(Physician)
(41)神殿医学から自然医学に与えた影響(3)
(40)神殿医学から自然医学に与えた影響(2)
(39)神殿医学から自然医学に与えた影響(1)
(38)日本医学に影響を与えたヒポクラテス
(37)なぜ「医学の父」と崇められたのか
(36)医学は哲学から科学へ
(35)人間も自然の一部
(34)医師のモラルと良心(2)
(33)医師のモラルと良心(1)
(32)弱い痛みが強い痛みに隠される
(31)性ホルモンの影響を知る
(30)健康なときこそやるべきこと
(29)誰にでもある「癒す力」
(28)医者と患者のいい関係
(27)ヒポクラテス流・正しい医者の選び方(2)
(26)ヒポクラテス流・正しい医者の選び方(1)
(25)ワインの薬効
(24)ヒポクラテスの痔治療
(23)よい食習慣
(22)血液型による効果的な食事法
(21)病気を引き起こす原因は変化である
(20)気候風土と人間の関係性
(19)人間の体と季節の関係
(18)人間にとって最も大切なものは健康である
(17)病気を引き起こす原因は変化である
(16)人間が見る夢は心身の状態や病気と深い関係を持つ
(15)医者と患者のいい関係
(14)ダイエットの理想的な方法
(13)ヒポクラテスの人物像
(12)年齢と季節の関係
(11)女性は湿性で冷たく、男性は乾性であったかい
(9)「4」を持つヒポクラテス医学
(8)ヒポクラテスが教える120歳まで生きる法(2)
(7)ヒポクラテスが教える120歳まで生きる法(1)
(6)神経系を脅かす投薬治療
(5)治療は患者さん自身が自由に選択できる
(4)個人差を無視する現代医学
(3)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力
(2)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力
(1)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力

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