ヒポクラテスの癒す力

2007.11.30更新
(36) 「医学は哲学から科学へ」
近代の世界の医学は凄まじい勢いで進歩している。わが国もその例に漏れず目覚しい発展を遂げてきた。しかし病人の数は一向に減少しない。どうしてそのようなことが起こるのだろうか、その原因は明治時代に我が国が取り入れた西洋文化・医療に問題があるように思える。当時の日本ではドイツ医学が中心になって医学が組み立てられたが実は世界では医学の中心はドイツ医学ではなく、イギリス医学であった。18世紀イギリスで起こった産業革命で科学が中心となった。特に欧州の中でもドイツが技術である科学を行政に取り入れたため、明治政府がドイツ医学を日本の医学の手本とした。18世紀まではヒポクラテスの言う哲学を基本とする医学が主流を占めていた。それが19世紀以降目覚しい科学の進歩で哲学が排除された。その結果、知識・臨床が中心となり統計的な医学が一人歩きし患者と医師との隔たりが生じてきた。つまり上から下を見る医療に換わってきたのである。哲学のある医学だと同じ目線で病気について考えることができ、患者と医師が同じレベルで病気に対応することができる。この大きな転換が今日の医療の弱点となってきている。確かに現代は西洋医学が過渡期に入っている。つまり科学で解決できないことが多くでてきて、どうしても患者が治らない状況が表われている。こういうときこそもう一度医学の原点に返り、哲学を取り入れたヒポクラテス医学に立ち返ることで多くの患者の救済につながると考える。「見る・知る・触る」ことで宗教医学から臨床医学へと変えたヒポクラテスの方法は今日でも十分通じうるものである。もう一度古代・中世、そして近代初期の医療を見直す時期に来ているようである。


(71)骨の自然性 (1)
(70)流行病 (3)
(69)流行病 (2)
(68)流行病 (1)
(67)内科疾患について(3)
(66)内科疾患について(2)
(65)内科疾患について(1)
(64)病気を見分ける方法
(63)古代においての「急性病」(5)
(62)古代においての「急性病」(4)
(61)古代においての「急性病」(3)
(60)古代においての「急性病」(2)
(59)古代においての「急性病」(1)
(58)自然は病気の医者である
(57)四体液病理説
(56)ヨーロッパとアジアの違い(2)
(55)ヨーロッパとアジアの違い(1)
(54)病気と四季の関係(2)
(53)病気と四季の関係(1)
(52)人間の本性
(51)自然こそ病気の医者(2)
(50)自然こそ病気の医者(1)
(49)病は風の変化によって起こる
(48)古代特有の病「神聖病」
(47)古代の医術(4)古代の病気の形態
(46)古代の医術(3)ヒポクラテスの食餌法
(45)古代の医術(2)医術の知識の重要性
(44)古代の医術(1)医術の起源
(43)ヒポクラテス医学は全人的医学
(42)自然学から生まれた医者(Physician)
(41)神殿医学から自然医学に与えた影響(3)
(40)神殿医学から自然医学に与えた影響(2)
(39)神殿医学から自然医学に与えた影響(1)
(38)日本医学に影響を与えたヒポクラテス
(37)なぜ「医学の父」と崇められたのか
(36)医学は哲学から科学へ
(35)人間も自然の一部
(34)医師のモラルと良心(2)
(33)医師のモラルと良心(1)
(32)弱い痛みが強い痛みに隠される
(31)性ホルモンの影響を知る
(30)健康なときこそやるべきこと
(29)誰にでもある「癒す力」
(28)医者と患者のいい関係
(27)ヒポクラテス流・正しい医者の選び方(2)
(26)ヒポクラテス流・正しい医者の選び方(1)
(25)ワインの薬効
(24)ヒポクラテスの痔治療
(23)よい食習慣
(22)血液型による効果的な食事法
(21)病気を引き起こす原因は変化である
(20)気候風土と人間の関係性
(19)人間の体と季節の関係
(18)人間にとって最も大切なものは健康である
(17)病気を引き起こす原因は変化である
(16)人間が見る夢は心身の状態や病気と深い関係を持つ
(15)医者と患者のいい関係
(14)ダイエットの理想的な方法
(13)ヒポクラテスの人物像
(12)年齢と季節の関係
(11)女性は湿性で冷たく、男性は乾性であったかい
(9)「4」を持つヒポクラテス医学
(8)ヒポクラテスが教える120歳まで生きる法(2)
(7)ヒポクラテスが教える120歳まで生きる法(1)
(6)神経系を脅かす投薬治療
(5)治療は患者さん自身が自由に選択できる
(4)個人差を無視する現代医学
(3)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力
(2)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力
(1)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力

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