人間の体は生まれて初めのうちは、熱く、晩年になると最も冷たくなる。体が成長し強い時にはどうしてもそれは熱くなるが、いったん体が衰え始めると少しずつ衰退が進んでより冷たくなってくる。ヒポクラテス医学では、熱は大抵、胆汁のもとで発生すると考えていた。それを特別なものでない限り、持続熱(稽留熱)、毎日熱、三日熱、四日熱の4種類に分けた。
持続熱は最も多量の、しかも一番混ざりのない胆汁から起こり、最も短い期間のうちに分利を起こす。毎日熱は持続熱に次いで多量の胆汁から起こり、あと2つの熱より速やかに去ってしまう特徴を持っている。また持続熱はより低い分だけ長期にわたる。毎日熱は体の休息期が長いからである。三日熱は毎日熱よりも長引くもので、より少ない胆汁から起こる。もちろん毎日熱より長く続く。さらに四日熱は三日熱より長きにわたり、熱を起こす胆汁は僅かしか依存せず、体を冷やす方に依存することが多い。そして三日熱は黒胆汁(体の体液の中で一番粘液性を持つ)の性質を持っている。
人体の自然性を作るものが血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の4つであり、病気の原因はこれら4つの体液相互の関係と外的要因であることを説明している。これに季節などを加えて解説したものが、後にヒポクラテス医学「四体液病理説」の基礎となった。
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