ヒポクラテスの癒す力

2011.5.13更新
(57)四体液病理説

人間の体は生まれて初めのうちは、熱く、晩年になると最も冷たくなる。体が成長し強い時にはどうしてもそれは熱くなるが、いったん体が衰え始めると少しずつ衰退が進んでより冷たくなってくる。ヒポクラテス医学では、熱は大抵、胆汁のもとで発生すると考えていた。それを特別なものでない限り、持続熱(稽留熱)、毎日熱、三日熱、四日熱の4種類に分けた。

持続熱は最も多量の、しかも一番混ざりのない胆汁から起こり、最も短い期間のうちに分利を起こす。毎日熱は持続熱に次いで多量の胆汁から起こり、あと2つの熱より速やかに去ってしまう特徴を持っている。また持続熱はより低い分だけ長期にわたる。毎日熱は体の休息期が長いからである。三日熱は毎日熱よりも長引くもので、より少ない胆汁から起こる。もちろん毎日熱より長く続く。さらに四日熱は三日熱より長きにわたり、熱を起こす胆汁は僅かしか依存せず、体を冷やす方に依存することが多い。そして三日熱は黒胆汁(体の体液の中で一番粘液性を持つ)の性質を持っている。

人体の自然性を作るものが血液、粘液、黄胆汁、黒胆汁の4つであり、病気の原因はこれら4つの体液相互の関係と外的要因であることを説明している。これに季節などを加えて解説したものが、後にヒポクラテス医学「四体液病理説」の基礎となった。


(71)骨の自然性 (1)
(70)流行病 (3)
(69)流行病 (2)
(68)流行病 (1)
(67)内科疾患について(3)
(66)内科疾患について(2)
(65)内科疾患について(1)
(64)病気を見分ける方法
(63)古代においての「急性病」(5)
(62)古代においての「急性病」(4)
(61)古代においての「急性病」(3)
(60)古代においての「急性病」(2)
(59)古代においての「急性病」(1)
(58)自然は病気の医者である
(57)四体液病理説
(56)ヨーロッパとアジアの違い(2)
(55)ヨーロッパとアジアの違い(1)
(54)病気と四季の関係(2)
(53)病気と四季の関係(1)
(52)人間の本性
(51)自然こそ病気の医者(2)
(50)自然こそ病気の医者(1)
(49)病は風の変化によって起こる
(48)古代特有の病「神聖病」
(47)古代の医術(4)古代の病気の形態
(46)古代の医術(3)ヒポクラテスの食餌法
(45)古代の医術(2)医術の知識の重要性
(44)古代の医術(1)医術の起源
(43)ヒポクラテス医学は全人的医学
(42)自然学から生まれた医者(Physician)
(41)神殿医学から自然医学に与えた影響(3)
(40)神殿医学から自然医学に与えた影響(2)
(39)神殿医学から自然医学に与えた影響(1)
(38)日本医学に影響を与えたヒポクラテス
(37)なぜ「医学の父」と崇められたのか
(36)医学は哲学から科学へ
(35)人間も自然の一部
(34)医師のモラルと良心(2)
(33)医師のモラルと良心(1)
(32)弱い痛みが強い痛みに隠される
(31)性ホルモンの影響を知る
(30)健康なときこそやるべきこと
(29)誰にでもある「癒す力」
(28)医者と患者のいい関係
(27)ヒポクラテス流・正しい医者の選び方(2)
(26)ヒポクラテス流・正しい医者の選び方(1)
(25)ワインの薬効
(24)ヒポクラテスの痔治療
(23)よい食習慣
(22)血液型による効果的な食事法
(21)病気を引き起こす原因は変化である
(20)気候風土と人間の関係性
(19)人間の体と季節の関係
(18)人間にとって最も大切なものは健康である
(17)病気を引き起こす原因は変化である
(16)人間が見る夢は心身の状態や病気と深い関係を持つ
(15)医者と患者のいい関係
(14)ダイエットの理想的な方法
(13)ヒポクラテスの人物像
(12)年齢と季節の関係
(11)女性は湿性で冷たく、男性は乾性であったかい
(9)「4」を持つヒポクラテス医学
(8)ヒポクラテスが教える120歳まで生きる法(2)
(7)ヒポクラテスが教える120歳まで生きる法(1)
(6)神経系を脅かす投薬治療
(5)治療は患者さん自身が自由に選択できる
(4)個人差を無視する現代医学
(3)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力
(2)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力
(1)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力

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