「病気は気候や風土、生活の変化に体質や精神が対応できないことが原因だ。」
とヒポクラテスは指摘していますが、現代は人工的な環境や社会生活での激しい変化が加わって、抵抗力の低下や病気の急増を招いています。
そこで指摘しておきたいのは、次のポイントです。
栄養は体をつくる大切な要素のひとつであり、その種類や性質によって体を成長させたり、維持したり、丈夫にしたりするなど、いろいろな働きをします。私たちが日常的に行っている食べるという行為は、ただ空腹を満たしたり、味覚を楽しむ為ではなく、生命を維持する栄養分を補給することが第一の目的だということです。
ところが現代人は、その大切なことを忘れ、知らず知らずのうちに食べることの意味を見失っています。特に若者は、化学物質と添加物の塊のような加工食品や、ジャンクフードと呼ばれるものを平気で食べています。
最近の20代や30代の女性には、ダイエットのやりすぎと思われるようなスリムな女性が目立ちます。ダイエットブームや根強いヤセ願望のせいで肥満度が急激に低下し、20年前に較べるとヤセ型の女性が15パーセントも増えているそうです。
女性はダイエットのやりすぎで一日のエネルギー摂取量は大幅に減少しているものの、一日の食事のなかで摂る脂質の割合が30パーセント以上と高い数字を示しています。これは米などの糖質や、肉、魚などのたんぱく質を食べる代わりに、お菓子やジャンクフードを食べているからです。いくら全体のカロリー摂取量が減っても、脂肪の量が多ければダイエット効果が出ないばかりか、健康によくないのは明らかです。
昔から食事法は、健康の維持や促進を目的につくられました。その歴史をさかのぼると、ヒポクラテスの時代から広く用いられていたのです。しかし現代では、ダイエットといえば「やせる」というイメージがすっかり定着してしまいました。
「ダイエットの効果的な方法を挙げると、激しい活動や運動は空腹のときに行うことです。食事は体が冷えないうちに摂り始め、食前にあまり冷たい水を飲まないほうがよいのです。肉料理や脂っこいものはダイエットの敵と思われていますが、少しの量で食欲が満たされるので、むしろ上手に活用するべきです。」
ヒポクラテスの時代にくらべて、現代ではさらに病気の原因が増えています。本来の食事法とは程遠いダイエット法を実行し、抵抗力が弱まっている現代人には対策が必要です。健康や病気に対する無知、誤解、環境の悪化によって知らず知らずのうちにみなさんが不調や病気への道を進んでいるからです。
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