一年に四季があるように、体液と季節の間にも相互関係がある。人体のなかで粘液が最も増えるのは冬。粘液は体内にあるもののなかで最も冷たく、冬に風邪をひいた場合に出る鼻水や唾(つば)には粘液が多く含まれている。そして、春から夏へ向かい、気温が高まるにつれて増加するのが血液。血液の性質は温であり、この時期に人間の体は体温がいちばん上がって熱くなる。秋になると、血液が減って胆汁が多くなり、人体は乾燥して少しずつ冷えていく。
このように、人間の体と季節のあいだには密接な関係があり、一年を通して、温・冷・乾・湿の全てが関わっています。
現代では、ヒポクラテスが説明した四つの体液をそのまま理解することは出来ません。それはヒポクラテスが示した四体液のうち、黒胆汁と黄胆汁がはっきり分からないからです。そして、現代の自然医学は血液と脳脊髄液に注目しています。これらがうまく流れないと、脱毛やむくみ、内蔵機能の低下を引き起こします。
体液は、各人の体質や年齢、住んでいる場所や季節などによって有害になったり有益になったりと、大きく変わります。古くから、病気の治療や体の状態を判断するのには、この体液が重視されてきました。尿、汗、痰、鼻汁、涙などもそうです。
ヒポクラテスによると、熱病にかかった患者は、体温によって暖められた悪い体液が上の方へ流れるため、主に上半身に痛みや充血などの兆候が出ます。反対に、足の方は冷たくなります。悪い体液の排出を促すには、温めたり、冷やしたり、乾かしたり、湿らせるなどの処置を施し、体液の状態に応じて食物や飲み物を患者に与えます。
ヒポクラテスは、内なる体液と、飲食物や環境などの外なる自然が健康状態や病気の治療に関係することを発見しました。こうした事から現代でも、自然医療では体液に注目し、診断と治療に役立てているのです。
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