ヒポクラテスの癒す力

2010.04.30更新
(51)自然こそ病気の医者(2)

太陽や星の動きが生物に大いに影響を及ぼしていることが古代の時代から知られているが、それが生物学をなしていたようである。確かに科学的には不正確であるかもしれないが、真理の一つを捉えていることもまた事実である。

これらの歴史的なことから、健康と病気を純粋に合理的な方法で解説しようとしたのが前ソクラテス期の哲学者である。その代表的なものがクロトンのアルクマエオンが継承した「病気の自然な原因について」である。そこには「病気は熱や冷気の過剰による内的な原因で起こるものと、食物の不足や過剰による外的な要因で起こるものがあり、血液や骨髄および脳で生じる。またそれぞれの器官は特定の水・場所や、身体の疲れなどの理由が原因で起こっている」とある。

健康とはこれらの要素がうまく調和され、よく交じり合ったものであるという考え方がされていた。ヒポクラテスは人々の健康と気質に環境がどのように影響をもらたすかについて、系統的に纏め上げた。それが最古の論文である。特に気候風土と人間の関係に注目し、人間を取り巻く様々な外的条件である太陽・風・水と病気との関連について説明しようとしたものである。これがいわゆる“自然こそ病気の医者である”という考え方である。そしてこれは医師を志す者にとっては聖書的必修書でもあった。


(71)骨の自然性 (1)
(70)流行病 (3)
(69)流行病 (2)
(68)流行病 (1)
(67)内科疾患について(3)
(66)内科疾患について(2)
(65)内科疾患について(1)
(64)病気を見分ける方法
(63)古代においての「急性病」(5)
(62)古代においての「急性病」(4)
(61)古代においての「急性病」(3)
(60)古代においての「急性病」(2)
(59)古代においての「急性病」(1)
(58)自然は病気の医者である
(57)四体液病理説
(56)ヨーロッパとアジアの違い(2)
(55)ヨーロッパとアジアの違い(1)
(54)病気と四季の関係(2)
(53)病気と四季の関係(1)
(52)人間の本性
(51)自然こそ病気の医者(2)
(50)自然こそ病気の医者(1)
(49)病は風の変化によって起こる
(48)古代特有の病「神聖病」
(47)古代の医術(4)古代の病気の形態
(46)古代の医術(3)ヒポクラテスの食餌法
(45)古代の医術(2)医術の知識の重要性
(44)古代の医術(1)医術の起源
(43)ヒポクラテス医学は全人的医学
(42)自然学から生まれた医者(Physician)
(41)神殿医学から自然医学に与えた影響(3)
(40)神殿医学から自然医学に与えた影響(2)
(39)神殿医学から自然医学に与えた影響(1)
(38)日本医学に影響を与えたヒポクラテス
(37)なぜ「医学の父」と崇められたのか
(36)医学は哲学から科学へ
(35)人間も自然の一部
(34)医師のモラルと良心(2)
(33)医師のモラルと良心(1)
(32)弱い痛みが強い痛みに隠される
(31)性ホルモンの影響を知る
(30)健康なときこそやるべきこと
(29)誰にでもある「癒す力」
(28)医者と患者のいい関係
(27)ヒポクラテス流・正しい医者の選び方(2)
(26)ヒポクラテス流・正しい医者の選び方(1)
(25)ワインの薬効
(24)ヒポクラテスの痔治療
(23)よい食習慣
(22)血液型による効果的な食事法
(21)病気を引き起こす原因は変化である
(20)気候風土と人間の関係性
(19)人間の体と季節の関係
(18)人間にとって最も大切なものは健康である
(17)病気を引き起こす原因は変化である
(16)人間が見る夢は心身の状態や病気と深い関係を持つ
(15)医者と患者のいい関係
(14)ダイエットの理想的な方法
(13)ヒポクラテスの人物像
(12)年齢と季節の関係
(11)女性は湿性で冷たく、男性は乾性であったかい
(9)「4」を持つヒポクラテス医学
(8)ヒポクラテスが教える120歳まで生きる法(2)
(7)ヒポクラテスが教える120歳まで生きる法(1)
(6)神経系を脅かす投薬治療
(5)治療は患者さん自身が自由に選択できる
(4)個人差を無視する現代医学
(3)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力
(2)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力
(1)医学の父ヒポクラテスが教える癒す力

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