『ウォーキングの予防と対策』
人間はただ生きているだけでもエネルギーが必要です。そのエネルギーを毎日消費することで、体温を調節したり、心臓をはじめとした器官や臓器を働かせています。
人間が生きていくうえで最低限の機能を維持していくため、エネルギーの代謝である基礎代謝が大切になってくるわけです。通常体温が一度上昇すると基礎代謝は13%〜14%増加すると言われています。基礎代謝はもちろん身長や体重などにより個人差がありますが、16歳から18歳が最高値に達し、それから徐々に落ちていきます。
江戸時代ウォーキングの達人と言われた、伊能忠敬(実測日本地図を作成)は50代半ばから70歳の間の17年間で四万キロメートル以上歩いたと言われています。その距離はなんと、地球一周分です。いかに歩くことで健康を維持したかがわかります。
もちろん我々にそれを望むことはできませんが、交通網などが発達した現代で適度な運動をすることは非常に難しいかもしれません。
しかし適度な運動することで、肥満や生活習慣病の予防だけではなく、骨格、特に腰や膝、足首などの負担を軽減することができます。私はよく講演の中で“便利は体を悪くする”と言い続けています。その意味でもウォーキングは我々の生活の中において、なくてはならないものになっていることを忘れてはなりません。
まず仕事中に行う上で重要なのは準備運動です。外を歩く前に座席で体や手足を動かしたり、軽い体操を施してから、全身運動であるウォーキングをすることが必要です。それは体温を上げ、筋肉や神経系の働きを活性し、筋肉の柔軟性を高めるからです。それによって肉離れや捻挫などのトラブルを防ぐことに役立ちます。
それと体を動かすことで脳に刺激が伝わるため、心身ともにリラックスします。もちろんウォーキングを終えたあとにもクーリングダウン(整理体操)が必要です。それは運動によって温まった体を冷やし、呼吸を整えることに役立つからです。また疲労回復にも役立ちます。
私はよく、ウォーキングはハッピーな気持ちでやることを勧めています。会社や職場で嫌なことがあって暗くなったときに、ウォーキングで笑顔を出せば自然と明るくなってきます。そこでもう一度、仕事や家庭に戻ればより充実した生活を送ることができます。
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