今年世界中を恐怖の渦に巻き込んでいるSARSとはいったいどんな病気で、予防法はあるのでしょうか。この病気は21世紀に入り人類が初めて直面した未知の病気であると同時に人類史上最も致死率の高い感染症であると見なされています。
SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome)日本名「重症急性呼吸器症候群」は、2002年11月に中国広東省に始まり、香港、北京など中国各地、台湾、カナダ(トロント)、シンガポール、ベトナムなどの国や地域に瞬く間に広がりました。SARSに感染すると、2〜7日間の潜伏期間の後38℃以上の発熱があり激しい咳、息切れなど呼吸困難になり、胸部レントゲン写真で肺炎または呼吸窮迫症候群の所見が見られるようになります。その他、頭痛、食欲不振、倦怠感、下痢、意識混濁などの症状を伴うこともあります。
2002年11月1日以後に38℃以上の発熱と咳、呼吸困難の症状があって、発熱の10日以内にSARS流行地域に居住していたか、旅行した場合、SARSであることが疑われます。もし以上の条件の条件を満たしたならば、速やかに居住する保健所に連絡を取り、指定された医療機関で検査を受けなければなりません。
SARSは、コロナウイルス(ウイルスの表面に太陽のコロナの様な突起がある)科の新型であるSARSコロナウイルスによる感染症で、SARS患者と同居したか、SARS患者の看護介護などをして、その気道分泌物などを吸引、接触することで感染すると考えられています。特にSARS患者の咳やくしゃみで口から飛散した飛沫にはウイルスが多く含まれ、地面に落下する前にこれを直接吸引することによる、飛沫感染が感染ルートとして最も注目されています。
<予防法>
主要な感染ルートがSARS患者による飛沫の気道吸引であるため、マスクの着用である程度予防できると考えられています。そして、生地が1枚であるよりも重ねるほうがより効果的です。飛沫は通常、患者の半径1mに存在するので、患者に接触する場合や、人混みに出る場合もマスクの着用が勧められます。
また、SARSは感染症である以上、一般的な感染症予防法が適用されるのは言うまでもありません。現在、日本国内でSARS感染者は認められていませんので、国内でSARSに感染する危険性は極めて低いと思われますが、かりにその伝播が認められた場合には、外出後の手洗いとうがいも必要となります。万が一、家族にSARS患者が出た時は、血液など体液の付着したものは処分し、接触した可能性のある部分は次亜塩素酸ナトリウムや消毒用アルコールで消毒します。症状が出るまでの潜伏期間中には、現段階では感染力はほぼないと考えられていますが、家族に発症した者が出た場合は同居者等は少なくとも10日間は医療機関の監視下に置かれることになります。
一方SARSは恐ろしい死をまねく病気ではありますが、一感染症であることには変わりありません。健康体であり免疫力が十分であればそれだけSARSに感染する確率は下がります。免疫力を高めるには、十分な睡眠とバランスの取れた栄養の二つの条件を満たすのに限ります。夜12時前に入眠できるように心がけ、食事もビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB2、などスカベンジャー・ビタミンを多く含む食品、ムチン、ラクトバチルス・ガゼイ菌食品などを摂取して万一の時に備えましょう。
- スカベンジャー・ビタミン食品
アボガド、枝豆、キャベツ、グリーンアスパラガス、緑茶、のり、ブロッコリー他
- ムチン食品
納豆、モロヘイヤ、オクラ、里イモ他
- ラクトバチルス・ガゼイ菌食品
チーズ、キムチ、ヤクルト他
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