過活動膀胱 〜意外に知られていない排尿機能障害〜

説明

過活動膀胱とは、昼夜問わず頻繁にトイレに行きたくなったり、また尿意をもよおし我慢できなかったり、失禁してしまうことがある、といった症状を訴える病気です。  

この病気は一般の方には、まだ良く知られていません。しかし過活動膀胱の罹患率は人口の12%前後と言われており、特に高齢者になるにつれて多く発症します。旭川医科大学のインターネット調査によると過敏性腸症候群と過活動膀胱との関連も指摘されています。このような症状を訴える方が検査をしても何も見つからないので、実際に治療を受けている方は少なく、ただ我慢している方が多いのが現状です。
また尿意をもよおすなどの症状により、睡眠が妨げられる、悩む、活動に制限が加わるなど、日常の生活に支障をきたすケースも多いようです。

過活動膀胱とは

過活動膀胱の原因はよくわかっていないことが多いですが、神経原性のもの、非神経原性のものに大別されます。

 正常な場合、膀胱に尿がたまりいっぱいになると脳に信号が送られ、排尿筋が収縮されることにより尿は排出されます。神経に何らかの障害が加わると、この排尿筋が過活動になり膀胱に尿が十分にたまっていなくても、脳に信号が送られ尿意をもよおしてしまいます。このような障害は脳血管障害やパーキンソン病などの脳の障害、多発性硬化症などの脊髄の障害などが原因として指摘されています。
非神経原性のものは骨盤底筋の緩みや、糖尿病、前立腺肥大などの病気との関連性は指摘されていますが、多くのものは原因がわかっていません。

もし過活動膀胱になってしまったら

もしかしたら過活動膀胱かもしれないと思ったら、まず医療機関にご相談ください。過活動膀胱症状質問票(OABSS)というものが過活動膀胱診療ガイドラインとして日本排尿機能学会から発行されていますので、ご参考にされることをお勧めします。

過活動膀胱の予防と対策

過活動膀胱は年齢を増すごとに多く発症しますが、だれにも相談せずにあきらめたり、我慢したりする方が多いようです。もし過活動膀胱と診断されたら初期段階では行動療法という治療がされます。症状を改善するための生活指導、骨盤底筋や膀胱訓練、理学療法などを行います。
改善が見られない場合は、薬の処方、もしくは手術などの手段がとられます。
普段からお茶やコーヒー、炭酸飲料などに含まれるカフェインやアルコールなどの排尿を促すものの摂取を控えましょう。規則正しい生活と定期的な運動も大切です。

ここではケーゲル体操というものをご紹介します。尿漏れなどの原因である骨盤底筋を鍛える体操です。

まず、排尿時に3~4回止めて、また出すことを繰り返してください。繰り返すうちにどの筋肉を使っているかが自覚できると思います。
骨盤底筋を自覚できるようになったら、今度は仰向けになり筋肉を締める、緩めるという体操を10回ほど行ってください。これを1セットとし5回繰り返してください。寝た状態でできるので、朝起きた時や寝る前、休んでいるときにやってみてください。

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