みなさんは肺塞栓症という病気を御存知でしょうか?
この肺塞栓症という名前はあまり聞いたことがないと思いますが、実は最近、特に旅行シーズンなどになると多い病気で、一般には「エコノミークラス症候群」という名称で呼ばれることが多いようです。
なぜこの名称で呼ばれるようになったかというと、飛行機に乗っていた方が肺塞栓症にかかり、その結果肺梗塞を起こし、そのことが訴訟問題にまでなったことに理由があるそうです。
それではこの肺塞栓症について、これは時には命にかかわるような恐い病気なのですが、その原因、症状、治療法などを簡単に述べていきたいと思います。
まず肺塞栓症が起こる原因です。それは肺の動脈に血栓が流れこんでしまい、そこから先の肺の組織が壊死してしまいます。
その血栓ができるのはなぜかというと、いくつか原因があります。
今回取り挙げた「エコノミークラス症候群」においては、せまい飛行機の中では長い時間あまり動かずにほとんど同じ姿勢で過ごすため、身体全体の血行が悪くなり、特に膝から下の部分にうっ滞が起こりやすくなります。機内は湿度が10%ぐらいに乾燥していますから、水分不足により体内の血液の濃度が濃くなって凝固しやすくなり、膝から下の静脈が血栓ができやすい状態になります。ちなみにこの状態は飛行機のエコノミークラスに限って起こることではなく、ファーストクラスや同じように長時間同じ姿勢で座ったままの長距離バス内でも起こる可能性が高いです。
こうして静脈内にできた血栓が、身体を動かした時など、血液の流れに乗って肺の動脈へと到り、動脈の一部を詰まらせ壊死を引き起こします。血栓の他にも同様に肺動脈を詰まらせるものには、脂肪や羊水などがあります。
肺塞栓症の症状は呼吸困難、胸の痛み、チアノーゼ、血痰などの他に死に至る可能性もあります。
次に治療法ですが、まず酸素の投与、必要に応じて鎮痛薬を用いるそうです。さらに血液の凝固を抑制するための薬を投与し、死の危険が迫っていると考えられる患者には外科手術も行うそうです。
このように死に到る可能性もある「エコノミークラス症候群」ですが、適切な水分の補給が行われれば、多くは予防できるそうです。トイレの利用を避けようとして水分の摂取を控えるという人が女性には見受けられます。飛行機の中では、ひんぱんにトイレに行くのは気が引けるでしょうが、1時間にコップで一杯ほどの水を少しずつ飲み、つま先を上下させて、ふくらはぎの血行を促すことで、血栓ができるのを防ぎ、肺梗塞を防ぐことができるそうです。ぜひ実践してみて下さい。
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