●説明
痔とは肛門とその周辺の病気の総称のことを言います。日本人の3人に1人の割合で痔に悩んだことがあると言われるくらい身近でポプュラーな病気です。
痔の種類は大きく分けて「痔核(いぼ痔)」「裂肛(きれ痔)」「痔瘻(じろう)(あな痔)」の3種類です。
先ず痔核、いわゆる「いぼ痔」は痔の中でも最も多く痔患者の半分以上を占めていると言われています。更にこの痔は直腸と肛門を隔てる歯状腺と言われる部分を境に内痔核と外痔核に分かれます。内痔核は直腸側、外痔核は肛門側にできたものを言います。
次に裂肛は固い便や下痢などが通過した際に肛門が切れてできた外傷です。
そして痔瘻は直腸と肛門の境目にある歯状腺のくぼみから大腸菌などの細菌が入り込み、その周辺が化膿して直腸と肛門周囲に通じる細い管(瘻管)を形成します。
●痔とは(原因・症状等)
痔核は先ず便秘などで硬い便を出そうとしたときや重いものを持つとき、ゴルフスウィングなどスポーツ時などの「いきみ」の繰り返しにより静脈内の圧力が高まり発症します。また長時間の立ちっぱなしや座りっぱなしなどの同じ姿勢は血行障害となるため痔核の原因として挙げられます。
内痔核の症状は進行具合により1から4度に分けられます。
第1度
痛みはなく、排便時に出血する。
痔核の脱出はない。
第2度
痔核が排便時に肛門から脱出するが排便後は自然に肛門内に戻る。
出血があり、痛みも出てくる。
第3度
排便時の脱出がひどくなり、自然に肛門内に戻らず指で押し込まないと戻らない。
体を動かした拍子に脱出することもある。
第4度
常に脱出した状態となり指で押し込んでも元に戻らない。
痔核が固くなり痛み、出血がなくなる。
粘液がしみ出てくる。
外痔核は内痔核と異なり強い痛みを伴います。さらに血栓性の静脈炎を併発すると激痛を感じるようになります。この痔核は指で硬いしこりとして触れることができます。
裂肛は便秘で固くなった便が肛門を通過した時や下痢が続いたときに肛門が切れて出来ます。症状は排便時に紙につく程度の出血と痛みがあります。裂肛になると排便時に痛みがあるため、ついトイレを我慢してしまう傾向にあります。その結果、便はますます固くなり症状を悪化させるという悪循環が生まれます。慢性化すると傷口が潰瘍状となり強い痛みが排便後も続くこともあります。
痔瘻の原因は細菌の感染です。歯状線の奥にある肛門小窩というくぼみに便の中にある大腸菌などの細菌が入り込み炎症を引き起こします。これが肛門周囲に拡がり化膿性の炎症を発生させます。痛みや発熱などはなく、瘻孔から膿や便、粘液などの分泌物や肛門周囲の不快感が主な症状です。しかし膿が開口部で塞がってしまうと腫れ上がって痛みがでることもあります。
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