●説明
食道がんは日本・中国などアジアや南米に多い疾患です。男性では50歳以降に・女性では70歳以降に多くみられます。食道は頚・胸・腹部の3つの領域に分けられますが、食道がんの発生部位としては胸部食道に最も多く(87.8%)、頚部食道や腹部食道に発生するものはそれぞれ5%くらいです。 また、食道の壁は内側から粘膜・粘膜下層・筋層・外膜といった構造になっており、がんが粘膜下層までの深さにとどまっているものを表在型食道がん、がんが筋層より深くもぐり込んでいるものを進行型食道がんといいます。
●食道がんとは
食べ物がつかえる感じ、胸がしみたり、胸がチクチクしたりする感じ、喉の違和感といった症状があります。 また、一般的にがんは血管が豊富なため出血しやすく、食道がんの場合には吐いたものに血が混じるといった症状も見られます。食道がんが進行すると、周囲の臓器に達することでさまざまな症状が引き起こされます。 よく見られるものとしては、背中の痛みや胸の痛み、気管・気管支に浸潤すると頑固な咳や血の混じった痰(たん)が出るようになります。
●もし食道がんになってしまったら
食道がんの治療は主に手術療法(外科手術)、放射線治療、化学療法(抗がん剤治療)があります。 がんが小さく、腫瘍が一部に限られている場合には放射線治療でも十分根治性が期待できるようです。放射線治療は手術と異なり患部を切除する必要がない為、食道機能を温存することができ、外来で治療ができるなどメリットがあります
●食道がんの予防と対策
毎日の喫煙が死亡に及ぼす危険性は、喉頭がん・肺がん・口腔咽頭がんについで食道がんで高く、たばこをやめることが予防に大切と考えられます。 きついアルコールは口・のど・食道の粘膜をきずつけがんを誘発するとも言われています。最近の研究で、もともとアルコールに弱くすぐに顔が赤くなっていた人が飲酒を続けると食道がんになりやすくなることが分かってきました。
●食道がんにならないようにするには
がんを防ぐためには、バランスのとれた食事・食べ過ぎを避ける・脂肪は控えめに・お酒はほどほどに・たばこは吸わない・緑黄色野菜を多く取る・あまりに熱いものは冷ましてから摂るなどを心がけて下さい。 食道がんにかかった人は口の中(口腔)・のど(咽頭・喉頭)・胃のがんにかかる確率がアップしますので注意が必要です。