埼玉県入間市で若者男女3人の自殺死体が発見されました。彼らは、インターネットの自殺志願者のサイトで知り合い心中を計画しましたが、その死因は練炭入り七輪4個とバーベキュー用コンロ2台による一酸化炭素中毒でした。
一般の方々の生活環境の中で一酸化炭素を吸引するのは、炭、練炭、石油、ガスなどの不完全燃焼と自動車の排気ガスによるものが多く、特に寒いこの時期、現在のような気密性の高い住宅ではその危険度は高まっています。
一酸化炭素中毒には一時に高濃の一酸化炭素を吸引することによって起きる急性中毒と、低濃度であっても長期間にわたり吸引することによって起きる慢性中毒があります。一酸化炭素は空気よりやや軽い無色、無臭の気体で、肺に吸引された後、血液中のヘモグロビンと接すると酸素の200倍以上の強さで結合するため酸素の運搬ができなくなり、特に酸素需要の大きい脳や心臓は強く障害されます。
初期症状としては、頭痛、吐き気、こめかみの拍動から始まり、やがてめまい、嘔吐、腹痛などがあって、症状が強く出てからだと、体の力が入らず動くことができず、その後昏睡して死に至ることもあります。この様な一酸化炭素中毒患者を発見したらまず、救出者は自分が共倒れしない様に、ぬれたタオルなどで口と鼻をおおって、息を止めたまま部屋の換気に努めなければなりません。そして以下の処置を行います。
(1) 安全な場所へ引きずって移動させる。(意識があっても歩かせない)
(2) 呼吸が停止している場合は人工呼吸を、心停止している場合はさらに心臓マッサージを行う。
(3) 毛布などで体温の低下を防ぎ、安静にさせると共に救急車を呼び医師の検査、治療を受ける。
新鮮な空気の吸入だけでも4〜6時間で血中の一酸化炭素は半減しますが、純酸素の吸入であれば40〜80分程度で同様に半減し、多くの場合は後遺症を残すことなく回復します。しかし中には、いったん急性期の症状が消失していたにもかかわらず、数日〜数十日後に症状が再発する間欠性一酸化炭素中毒というものもあります。そのため、もしも急性の一酸化炭素中毒の症状がすぐになくなっても侮らず、医師の診察を受ける必要があります。
「2000年問題」の時、燃料用として購入した練炭などを、室内で使用したために一酸化炭素中毒になった人も報告されています。少なくとも火を使ったら一酸化炭素は発生していることを仮定して、定時的に部屋の換気を行う習慣をつけなければなりません。
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