わが国日本は環太平洋火山帯に属し、列島近辺に多くのプレートが集約することから世界でも有数の地震国となっています。平成19年7月には震度6強を記録した新潟県中越沖地震が発生して、災害が身近な問題であることを改めて認識させられました。
災害が発生後、復興までの間は当座の食事(約3日分)を自分で確保しておかなければなりません。今回は地震をはじめとする災害が発生したときの食事について注意する点を以下の観点で述べてみます。
- 緊急時の食事
- 災害時に備えての食事の保存
- 災害時のストレスを軽減する食事
原則的には平常時にも共通していえることですが、七大栄養素である炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラル・水・食物繊維を摂られるように心がけます。
1. 緊急時の食事
緊急時はガス、水道、電気などいわゆるライフラインが途絶えてしまい使えなくなるので、このことを考慮した食事を準備しておかなくてはなりません。
A.温めなくても食べられる食品
乾パン、クラッカー、せんべいなど。肉・魚などの缶詰。
B.水を加えるだけで食べられる食品
アルファー米、スキムミルク、フリーズドライ食品(野菜、みそ、しょう油)
粉末飲料(スポーツ飲料、お茶、コーヒー)
C.卓上カセットコンロで作れる食品
レトルト食品(スープ、カレー、肉野菜料理)、インスタント麺
フリーズドライ食品(スープ、お粥、味噌汁)、乾麺
D.当座のエネルギー源、栄養源となる食品
チョコレート、キャンディー、ようかん、チーズ
栄養補助食品(カロリーメイトなど)
また飲料水としては1日あたり3リットル(3日分で9リットル)をめやすに用意しておく必要があります。
2. 災害時に備えての食事の保存
災害はいつ何時やってくるかわかりませんから、常日頃よりそのための食事を備蓄しておかなくてはなりません。そのため災害時のための食事は保存期間が出来るだけ長く、調理に手間がかからないものが良いとされています。
「1. 緊急時の食事」で取り上げた食品の保存可能期間を以下に示しますので目安にしてください。
A.乾パン(1年)、クラッカー(9ヶ月〜1年)、せんべい(6ヶ月〜1年)、
肉・魚などの缶詰(5年)
B.アルファー米(5年)、スキムミルク(1〜1年半)、粉末飲料(3年)
C.レトルト食品(2年)、インスタント麺(6ヶ月)、
フリーズドライ食品(6ヶ月〜1年)、乾麺(1年)
D.チョコレート(1年)、キャンディー(1〜1年半)、ようかん(1年)、
チーズ(種類による)、栄養補助食品(1年)
またペットボトルの水やお茶は保存期間が1年です。
※メーカーや仕様により保存期間が異なる場合があります。商品ごとに必ず確認して下さい。
3. 災害時のストレスを軽減する食事
災害時には被災による精神的ストレスに加え、集団生活など慣れない環境が身体へ悪影響をきたします。このようなときは以下のことを注意して食事を摂るようにしましょう。
A.トイレ事情が悪化することから、被災者はトイレに行く回数を減らそうとして水分を控える傾向にあります。これは高血圧を悪化させたり、座ったままの生活と関連してエコノミークラス症候群を引き起こす原因となったりして非常に危険です。食品に含まれる水分も含めて水は1日3リットルを目安にきちんと補給するようにします。
B.ストレスを軽減する栄養素としては、ビタミンCやマグネシウムなどが挙げられますがこれらは新鮮な野菜や果物から摂取できるものであり、保存のきく災害時の食品だけでは不十分です。そこでこれらを多く含むマルチビタミン・ミネラル系のサプリメントを災害時のために1ビン用意しておくと大変役立ちます。
その他、調理に必要な卓上カセットコンロや七輪、調理器具、割り箸やプラスチック製のスプーン、フォーク、皿なども一緒に保存しておくといざというときに困らないで済みます。
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