台風がひとつ過ぎ去るごとに秋が近づいてまいりました。今回は食欲の秋にちなんで食欲が過剰になってしまう「過食症」を取り上げてみました。
私たち人間は自然の中で暮らす野生動物と異なり、食物を自分たちで生産することに成功しました。特に先進国では身の回りに有り余るほどの食物があります。もし欲望のままに食べていたら肥満になることは間違いありません。過食症の怖さはこの肥満への恐怖心と関係しています。
過食症の人の中には肥満になりたくないために、嘔吐を繰り返したり下剤を使用したりするケースが多く見られます。このようになると一見外見上、体重は増えませんので周りの目からは過食症に陥っていることが判りません。こうなってくると行動は無気力になり、抑うつ症状を伴うようになります。言い換えれば過食症は精神的な病気だと言えます。
過食症の特徴
- 先進国の若い年代の女性に見られます。
- 最初はダイエットのし過ぎからその反動で過食に走ります。
- 過食のすぐ後に嘔吐したり下剤を使ったりします。
- 拒食と過食を繰り返します。これら二つをあわせて摂食障害と言います。
過食症の原因
- 神経質で完璧主義の性格。
- 身の回りの環境の変化に対するストレス。
- 精神的なショック。
- 自分の容姿に関心が高い。
過食症に伴う症状
過食症で肥満になった場合は、高血圧、高脂血症、動脈硬化、糖尿病他生活習慣病の基礎になります。また嘔吐や下剤の使用を始めると無気力、抑うつ症状などの精神症状が現れます。さらに栄養の不足から貧血、ホルモンの乱れに伴う無月経、無排卵、さらに高ずると骨粗しょう症になるケースもあります。
過食症の治療
最初に申し上げましたが過食症は一種の精神的な問題です。まずは精神を落ち着けるためには静かな音楽を聴いたり、瞑想を取り入れたりするのが有効です。こうして出来るだけ生活と心に余裕を持たせるように努力することが基本になります。それでもなかなか改善しない場合は精神科および心療内科の対象になります。それ以外の者が主催している過食症や摂食障害専門のセミナーや講演などは基本的にお勧めできません。
食事も固形物を減らして液体物を増やしてみると目先が変わって食欲のパターンに改善が見られることが期待出来ます。
- 医師による適切な栄養指導。
- 心理療法。精神科医によるさまざまな心理療法が拒食症を直す基本になります。
- 薬物療法。心理療法の手助けとして精神神経症状に対して一部向精神薬を使う場合もあります。
いずれにせよ自分が過食症に陥っていると感じたら自分だけで解決しようとせず、まずは家族に相談して専門の医師の門戸をたたくことをお勧めいたします。
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